
ことの発端
オンブズマンの会のホームページを見た町民の一人が、白子町長への手紙制度を通じて緑川輝男・町長に質問を送った。内容は、業務をほとんど行っていなかった元地域プロジェクトマネージャーの今井氏に対して前町長が求めていた給与返還を、緑川輝男・町長が「返還を求めなくてよい」と判断して取り消した、というものへの疑問だった。なぜそのような判断をしたのか、その理由を説明してほしい、という至極真っ当な問いかけである。
ところが町は、名前は記載されていたにもかかわらず、住所の記載がないことを理由に回答を拒否した。そこで私たち市民オンブズマンの会白子が、同じ内容を正式な公開質問状として改めて提出した。
返ってきた答えは「係争中のため回答できません」の一行だった。
二重の拒絶が示すもの
町民が名前を書いて聞いても「住所がなければ答えない」と言い、住所を添えて正式に聞けば「係争中だから答えない」と言う。どちらの方向から問いかけても、町は答えない。これを「たまたま手続き上の問題が重なった」と善意に解釈することは、もはやできない。答えたくないから答えない、という意思が透けて見える。
しかも質問状を提出したのは1月26日で回答期限は1月28日だったが、町が訴状を受け取ったのは1月29日である。回答期限の時点では町は訴訟係属の事実を把握していなかった。それでも期限を無視して黙り続け、訴状を受け取った後になって初めて「係争中だから答えられない」と通知してきた。争訟を回答拒否の口実に使ったと疑われても、反論の余地はないだろう。
126万円は誰のお金か
問題の核心に戻ろう。
業務をほとんど行っていなかった職員に対して給与が支払われていた。それ自体がすでに重大な問題だが、前町長はその給与の返還を求めていた。ところが緑川輝男白子町長はその判断を覆し、返還を求めなくてよいとした。金額は126万円である。
この126万円は町民の税金である。町長個人の財布から出た金ではない。仕事をしていなかった期間の給与を返さなくていい、という判断を、自分のお金でもない税金を預かる立場の人間が下した。その判断に至った理由を問われて、町は答えを拒否している。
町民が納得できる説明もなく、公表もなく、ただ黙って幕引きを図ろうとしているとしか見えない。
弁護士費用という名のさらなる税金の無駄遣い
この件はすでに裁判になっている。裁判になれば当然、弁護士費用が発生する。その費用もまた税金から支出される。
仕事をしていなかった職員への給与126万円に加えて、それを返還させないための裁判費用まで町民が負担することになる。町はこの裁判において「給与の支払いは正当だった」と主張するつもりなのだろうか。仕事をしていなかった事実を認めながら、それでも給与を支払うことが正当だと法廷で主張するつもりなのか。その主張のために、また税金が使われていく。
林和雄元町長の亡霊
この話には、白子町の行政の体質という文脈がある。
かつて林和雄元町長の時代、職員が横領事件を起こした際に「罪を憎んで人を憎まず」という理解しがたい理由で処分が行われなかったという前例がある。問題が起きても事を荒立てない、不祥事は内部で静かに処理する、そういう体質がこの町の行政には根付いているのではないかと、当時から指摘されてきた。
給与返還の取り消し、回答の拒否、公表の回避。今回の一連の対応を見ていると、その体質が今なお生きていると言わざるを得ない。林和雄・政権時、副町長でもあった緑川町長は林元町長時代への逆戻りだという批判に、果たして反論できるだろうか。
説明責任を果たせ
町民が求めているのは難しいことではない。なぜ給与返還の判断を取り消したのか、その理由を説明してほしい、ということだ。それだけだ。
個別に手紙で返事をよこすのではなく、町の広報やホームページで正式に公表し、全ての町民に対して説明すること。不祥事を覆い隠すのではなく、事実を明らかにして再発防止策を示すこと。首長として当然果たすべき責任である。
白子町は「係争中だから答えない」「今後は受け付けない」という姿勢を選んだ。であれば答えは法廷で引き出すまでだ。
住民訴訟の法廷で、これらの疑問の全てを白日のもとにさらしていく。
給与返還の取り消しが正当な判断だったのかどうか、手続きに問題はなかったのかどうか、公の場で決着をつける。
白子町の住民の皆さんには、この裁判の行方を注視していただきたい。法廷で明らかになる事実が、この町の行政の現実を映し出すことになる。
市民オンブズマンの会白子・会長