今井氏と町の言い訳を裁判所はどう見たか

前回の記事では、千葉地方裁判所が、白子町長に対し、元白子町地域プロジェクトマネージャーである今井恵一氏への給与返還請求を命じる画期的判決を言い渡したことを報告した。
今回は、本件訴訟において裁判所に提出された、今井氏の業務用パソコンのスクリーンショット記録を公開する。
町は、本件で、
私的インターネット閲覧をした具体的な期間及び時間を証拠上認定することが困難である
などと主張していた。
しかし、実際には、裁判所には業務用パソコンの利用状況を示すスクリーンショット記録が提出されていた。
判決は、このスクリーンショット記録について、次のように認定している。
補助参加人(今井氏)は、本件期間の勤務時間中、ITデータ運用管理ソフトによるスクリーンショット記録によって確認されただけでも、同人の職務用のパソコンから594件のウェブサイトの閲覧をしていた。
さらに判決は、これらの閲覧について、
そのほとんど全てが、芸能人等に関するニュース、株価情報、スポーツの試合に関する情報等を始めとする白子町における地域プロジェクトマネージャーとしての企画立案業務と明らかに関係のないものであった
と判断している。
つまり、町が「証拠上認定困難」と言っていたその対象について、裁判所は、スクリーンショット記録を含む証拠に基づき、明確に勤務実態を認定したのである。
公開されたスクリーンショットの内容
今回公開するスクリーンショットには、勤務時間中に業務用パソコンで閲覧されていたウェブページが記録されている。
その内容は、たとえば以下のようなものである。
- 兵庫県知事選やPR会社問題に関するニュース記事
- サッカー日本代表、Jリーグ、サンフレッチェ広島等に関するスポーツ記事
- 芸能ニュース、テレビ番組、俳優、芸能人に関する記事
- 日経平均、TOPIX、個別株、株式ランキング等の株価情報
- UR賃貸住宅等の物件検索
- 年収、手取り、所得税、住民税等に関する記事
- 坂本龍馬、幕末史等に関する読み物記事
- マイナ保険証、政治・社会ニュース
- Yahoo!ニュースのコメント欄
- 転職、移住、求人、キャリア相談に関するページ
- 千葉県公立高校入試の問題演習や解説動画
- 自動車修理、スマートフォン、飲食キャンペーン等に関する検索
いずれも、白子町の地域プロジェクトマネージャーとしての本来業務、すなわち地域活性化、移住定住の促進、ふるさと納税の拡充等に係る企画立案と関係があるとは到底考え難いものばかりである。
芸能ニュース、株価情報、スポーツ記事、賃貸物件検索、Yahoo!ニュースのコメント欄、高校入試問題、個人的な転職・移住関連ページまで、これらを「職務のヒント」だったなどと言うのは無理がある。
判決も、まさにその点を見ている。
裁判所は、閲覧されていたウェブサイトの「ほとんど全て」が、白子町における地域プロジェクトマネージャーとしての企画立案業務と明らかに関係のないものであったと認定した。
今回公開するスクリーンショットを見れば、その認定がいかに当然であるかが分かる。
その驚くべき内容とは
以下、裁判所に提出されたスクリーンショットの一部を公開する。

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これでも「証拠上認定困難」なのか
改めて白子町に問いたい。
これでも本当に「証拠上認定困難」なのか。
本人は、白子町公益通報委員会の聴き取り調査において、令和6年10月頃以降、1日の3分の1程度の時間を私的なインターネット閲覧に費やしていた旨を述べていた。
そして、業務用パソコンには、ITデータ運用管理ソフトによるスクリーンショット記録が残っていた。
判決は、その記録によって確認されただけでも、本件期間中、594件のウェブサイト閲覧があったと認定した。
さらに、令和7年1月27日には、勤務時間の約70%を私的なインターネット閲覧に費やしていたことも認定している。
本人の供述がある。スクリーンショットがある。閲覧サイトの内容がある。
特定の日には勤務時間の約70%を私的閲覧に費やしていた記録がある。
これでなぜ突然「証拠上認定困難」になるのか。
町が本来すべきだったのは、「認定困難」と言って返還請求を取り消すことではない。
資料を精査し、確実に認定できる範囲で返還額を算定し、適切に請求することだった。
裁判所は、少なくとも本件期間の勤務時間の30%について、今井氏が職務と無関係なインターネット閲覧に費やして勤務していなかったと認定した。
町の説明は、判決で退けられたのである。
「職務のヒント」では済まされない
町は、今井氏が「企画立案業務のヒントを得ていた」と弁解していることを理由に、私的閲覧と職務上の閲覧を区別することが困難であるとも主張していた。
しかし、裁判所はこの弁解も採用しなかった。
判決は、閲覧されていたウェブサイトのほとんど全てが、地域プロジェクトマネージャーとしての企画立案業務と明らかに関係のないものであると認定した。
さらに、今井氏がその任期中に、これらの閲覧結果をもとに何らかの企画立案をした実績もうかがわれないと指摘した。
当然である。
職務のヒントというなら、その成果があるはずである。
何を調べたのか。
それがどの業務に結びついたのか。
どの企画に反映されたのか。
その説明ができなければならない。
芸能ニュースも、株価情報も、スポーツ記事も、賃貸住宅検索も、高校入試問題も、すべて「職務のヒント」だったというのであれば、もはや職務専念義務は空文化する。
裁判所は、そのような弁解を認めなかった。
監査委員は何を見ていたのか
本件で問われるべきは、町だけではない。
監査委員の判断も問われている。
当会は、住民監査請求の段階から、町の対応はおかしいと指摘してきた。
町が一度は126万円の返還請求を行っていたこと。
その後、十分な説明なく返還請求を取りやめたこと。
本人が私的閲覧を認めていたこと。
業務用パソコンの利用記録やスクリーンショットが存在していたこと。
懲戒処分が戒告に修正されたことと給与返還請求は別問題であること。
これらを指摘していた。
しかし、監査委員は、当会の請求を棄却した。
では、監査委員は、このスクリーンショットをどう見たのか。
これを見てなお、「証拠上認定困難」と考えたのか。
これを見てなお、「職務のヒント」と考えたのか。
これを見てなお、返還請求を取りやめることが妥当だと判断したのか。
監査委員制度は、町長の説明を追認するための制度ではない。
住民の税金を守るため、執行機関の財務会計行為を独立してチェックする制度である。
本件では、その監査機能が果たされたとは到底言い難い。
今回の判決は、監査委員の判断にも重大な疑問を突きつけている。
終わりに
町は「証拠上認定困難」と説明した。
しかし、裁判所にはスクリーンショット記録が提出されていた。
判決は、その記録によって確認されただけでも、594件のウェブサイト閲覧があったと認定した。
そして、そのほとんど全てが、地域プロジェクトマネージャーとしての企画立案業務と明らかに関係のないものだったと判断した。
これで「証拠上認定困難」なのか。
これで「職務のヒント」なのか。
町は、町民に対して説明すべきである。
監査委員もまた、自らの判断を検証すべきである。
当会は、今後も、本件で提出された資料、判決の内容、町の対応を検証し、町民に明らかにしていく。