<213>〖白子町地域プロジェクトマネージャー懲戒処分〗〔町は何を学ぶのか〕<再発防止策を問う>

白子町民 各位

<要旨>
❶ 令和7年3月19日、白子町は会計年度任用職員で「白子町地域プロジェクトマネージャー(以下、地域PM)」を 停職1か月の懲戒処分 とし3月末日で継続雇用をせず退職となった。その後、町は4月30日付で 給与126万円の返還請求書 を発出した。
❷ 本件について当会は町長に対して公開質問状を発出。併せて決裁文書・返還請求書の開示請求を行った。
❸ 本稿は、町がこの不祥事をどう教訓化し、制度・運用を是正していくのか を5つの視点で問い直す。


<経緯の整理>
私的インターネット閲覧
 2024年10月頃から2025年2月まで、勤務時間の約7割を業務外サイト閲覧に費やした。
懲戒と返還
 地方公務員法29条等に基づき停職処分
(懲戒審査会は戒告と答申したが、町長の裁量により停職となった模様。)。
 給与返還額は「4か月分給与×7割」で算出。支払期限は5月31日。
町長回答(4月3日)
 量定は「他自治体先例を勘案」と説明し、再発防止として「定期点検・不定期ログ監視」を掲げた。
開示請求と部分開示(5月15日)
 氏名・ログ詳細は不記名。返還請求書は数値と根拠条文のみ開示。


<町に問う5つの視点>
① 監督体制の検証と公開
監督責任者の監視体制が曖昧なままでは同種事案を防げないことから、監視体制の検証とそのPCログ解析の仕組みを再検証し、再発防止策の公開を求める。

② 量定基準の明文化
外部人材・常勤職員を問わず、公平・透明な懲戒基準を示すべきである。

③ 給与返還ルールの整備
今後の紛争を予防するため、返還額の算定式などを明文化すべきである。

④ プライバシーと監視の均衡
職員が懸念を示す監視の弊害を最小化するため、保存期間・閲覧権限・目的外利用禁止 を明文化し、公平な制度を導入されたい。

⑤ 外部人材マネジメントの再設計
地域PM制度は成果重視になる反面、指導・評価が手薄になりがちだ。任用時の目標設定 → 月例レビュー → 期末評価 を一貫したPDCAに再構築することが、信頼回復の近道である。


<提言>

  1. 6月定例議会での報告
     町長自ら、処分の概要と再発防止ロードマップを議場で説明し、町議会への報告を求める。
  2. 「職員情報セキュリティ指針」の改訂
     監視仕様・ログ管理・教育計画を盛り込んだ改定を求める。
  3. 専門家会議の設置
     監査委員・ITガバナンス有識者などで構成する専門家会議を開催し、再発防止に努める。
  4. 成果と教訓の共有
     外部人材を抱える全国約300自治体が参考にできるよう、成果と教訓の共有を求める。

<おわりに>
今回の処分は「外部人材活用と組織統制」という全国共通の課題を照射した。今後、町がデータを分析し、制度を磨き上げ、経過と結果を住民に示す ことで初めて「失敗を糧にした改善事例」へ昇華する。町行政が学びを隠さず開示し続けることを、当会は今後も粘り強く見守り、必要なときには具体的提案を重ねていく。

以上
市民オンブズマンの会白子・会長

投稿者: 市民オンブズマンの会白子

【会長略歴】千葉県白子町住民。内部監査士。1958年生まれ。前職(商社勤務)時より日系企業の東西経済回廊諸国(タイ国+周辺諸国)進出支援の講演(JETRO他)多数。専門は危機管理(世界銀行、国連・国際防災戦略事務局、JICAでの講演・公的調査、査読論文他)。趣味は散歩。特技は国境陸路越え。東西回廊横断:ベトナム カンボジア タイ ミャンマー バングラデシュ/縦断:中国 ラオス タイ マレーシア シンガポール 。【ニックネーム】❶伊能忠敬 夢酔独言 ❷伊能忠敬 九十九里海岸。

コメントを残す