白子町民 各位
<要旨>
- 2023年の自販機“無償設置”問題に続き、当会が2024年3月に行った**住民監査請求(旧中里プール跡地の無契約占有)**が、町の財産管理のずさんさを改めて浮き彫りにした。
- 監査委員勧告を受け、町は占有者に明渡しと不当利得59万6,920円+遅延損害金を請求し、応じない占有者を相手取り町自ら訴訟を提起した。
- 本件は、本来であれば町が得るべき賃料収入を取り戻す契機となり、オンブズマン活動が財政健全化に直接資した好例と言える。
1 経緯の整理(ダイジェスト)
| 年月日 | 出来事 | 備考 |
|---|---|---|
| 2024/03/22 | 当会、住民監査請求を提出 | 中里4563-17番地(旧中里プール跡地)の無契約占有を問題視 |
| 2024/05/21 | 監査委員「一部認容」勧告 | ①明渡し・②不当利得5 9 6,920円請求 |
| 2024/06/07 | 町長、占有者に返還請求通知 | 支払期限:2024/07/07 |
| 2024/12/ | 占有者応じず、町が訴訟提起 | 土地明渡し+不当利得返還請求 |
| 2025/05/15 | 一部開示決定で訴訟進行判明 | 町が原告、第1回口頭弁論済 |
2 監査請求がもたらした「二つの効果」
① 隠れた歳入の顕在化
- 監査委員が指摘した59万6,920円は、町が見過ごしていた「本来の賃料相当額」。
- 今後の遅延損害金や明渡し後の正式貸付契約を勘案すると、少なくとも70万円超の歳入改善が見込まれる。
- 自販機問題でも、無償占用分につき年間百万円超の賃料収入が生まれており、オンブズマンによる監査が継続的歳入を生む構図が再確認された。
② 財産管理体制の可視化
- 監査請求〜訴訟の一連手続きで、土地台帳の欠落、契約更新忘れ、貸付料算定基準の旧態依然など、組織的課題が文書化された。
- 町に対しても「貸付料基準改訂」などを提言したので透明性向上の起点となった点は大きい。
3 見えてきた課題(概要)
| 課題 | 主な示唆 |
|---|---|
| 契約更新忘れ | 定期点検を怠ると長期無償占有に発展 |
| 貸付料の低水準 | 基準未改訂が20年以上続き、市場価格とかけ離れた設定 |
| 台帳の分散管理 | 担当課ごとに紙ファイル保存。全庁的把握が困難 |
| 係争コストの把握不足 | 訴訟費用の財源・回収見込みを事後説明 |
4 おわりに
自販機問題に端を発した当会の一連の監査請求は、「見えないはずの歳入」を町財政に呼び戻す効果を実証しつつある。旧中里プール跡地の件も、町が原告となる異例の展開にまで至ったが、これは行政が自らの管理懈怠を是正する過程と位置づけられる。
オンブズマン活動はあくまで**“対立”ではなく“改善”の契機**である。町が今回の係争を教訓に、財産管理を一段と磨き上げることで、住民福祉に還元される安定財源を積み上げていくことを期待したい。
以上
市民オンブズマンの会白子・会長