白子町民 各位 2023年 05月 23日(火)
【 経緯 】
既報<94>【住民訴訟】〔意見陳述要旨〕(第1回口頭弁論)※2022年09月16日、<101>【住民訴訟】(第 2回 口頭弁論)※2022年 11月 25日(金)、<133>【住民訴訟】(第 3回口頭弁論)※2023年 01月 27日(金)、<145>【住民訴訟】(第 4回口頭弁論・速報)※2023年 03月 24日(金)の続報です。
本日、第 5回 口頭弁論が 2023 年 5月 23日(火)千葉地方裁判所( 第 601号法廷 )にて実施されました。前回第 4回被告並びに補助参加人の主張に対して、徹底的な反論を行いました。


【 第 5回 口頭弁論 】( 11:00 開廷 ~ 11:30 閉廷 )
❶ 原告:市民オンブズマンの会白子会長、訴訟代理人弁護士 及川智志
❷ 被告:白子町長(石井和芳)訴訟代理人弁護士 宮原清貴
❸ 補助参加人:前白子町長(林和雄)、職員 (小髙健史)代理人弁護士 髙橋一弥、古屋正隆
< 要旨 >
原告より準備書面(3)提出(全 13 ページ)提出( 2023 年5月8日付 )。その要旨を原告訴訟代理人より口頭弁論しました。
<第 5回 弁論要旨 >
令和4年(行ウ)第32号 損害賠償等請求事件
原告 市民オンブズマンの会白子 会長
被告 白子町長 石井 和芳
《 弁論要旨 》
2023年 5月 23日
千葉地方裁判所民事第 3部合議 4係 御中
原告訴訟代理人 弁護士 及川 智志
第1 白子町国民体育館について
1 体育館土地の管理権限が町長にあること
教育委員会の所管外の法人や事業にも利用されている体育館土地の管理権限が教育委員会にあると解することはできず、体育館土地の管理権限は白子町長にある。
被告は、体育館建物と体育館土地の管理権限を「密接不可分あるいは一体不可分」という定義も要件も不明な概念を用いて一緒くたに扱うが、そうした規律の緩さが本件のような行政財産管理の違法を招くことをそろそろ自覚するべきである。
地教法 22条の解釈からしても、体育館建物についての教育委員会の管理権限を体育館土地に拡張するべきではないから、体育館土地の管理権限は白子町長にある。
2 使用許可は町長がしていること
体育館の本件自販機が撤去された後、同自販機が設置されていた場所にダイドードリンコ株式会社が(公募により)自動販売機を設置していたが、その行政財産使用許可をしているのは白子町長である(甲 8)。
したがって、体育館への自販機の設置を認めるか認めないかの権限が白子町長にある(この権限が教育委員会ないし教育長にはない)ことは明らかである。
第2 白子町青少年センターについて
1 許可書について
許可書が存在しない 7年間については、地方自治法 238条の 4第 7項に規定されている行政財産の使用許可がされていなかったといわざるを得ない。つまり、この 7年間については、行政財産の無許可使用が認められる。
2 1年間延長条項について
1年間延長条項の効力を認めることはできない。地方公共団体の単年度主義・会計年度独立の原則から、行政財産の使用許可は年度ごとにされる必要があるからである。実際、白子町自身、許可書が存在する年度については、年度ごとに行政財産の使用許可をしている。また、白子町自身、平成 24年度以降は1年間延長条項を廃止している(丙6ないし丙15)。
仮に百歩譲って、1年間延長条項の効力を認めたとしても、4年間については前年度の許可書が存在しないことから、1年間延長条項の効力が及ばない。そうすると、少なくとも、この4年間については、地方自治法 238条の 4第 7項に規定されている行政財産の使用許可がされていなかったといわざるを得ない。つまり、少なくとも、この4年間については、行政財産の無許可使用が認められる。
3 賃借料を徴収していない違法について
この点、被告は、「青少年センターを利用する10 代の人はお金がないし、60 歳代の人の多くは定年退職しているからできるだけ安く利用出来た方が良い」ので「必要経費の電気代と水道料だけを徴収することにした」と主張している。
しかしながら、これは明らかに後付けの理由である。なぜなら、許可書はもちろん行政財産使用許可決議書などの許可に至る決裁文書のどこにも、そのような理由は記載されていないからである。しかも、実際に計算してみると、一般に市販されていた缶ジュースよりも青少年センターの自販機の紙コップジュースのほうが割高である。
したがって、被告の主張は失当であり、実費以外の使用料(賃借料)を徴収していないという違法が明らかに認められる。
第3 白子町庁舎と体育館について
1 本件賃貸借契約について
自販機が異なれば、設置面積も異なり、電気代や水道代も異なるし、使用料(賃料)も異なるから、新たな賃貸借契約が必要となる。賃料は賃貸借契約の要件であり、これが異なれば、賃貸借契約も改めなければならないはずである。
実際、白子町自身、青少年センターに設置された自販機の「使用料の額」を自販機の「型式」に応じて計算している。そして、白子町自身、青少年センターに設置された自販機については、自販機が異なるごとに使用許可をしている。そうすると、使用許可については自販機ごとにしているのに、賃貸借契約については自販機ごとの契約が要らないという解釈は困難である。
この点、被告は、「乙30、乙31(筆者注・本件賃貸借契約)に規定する自販機は、通常の自販機でありさえすれば良いので、本件自販機の設置は賃貸借契約の目的内の使用となる。仮に、そうでないとしても原告が主張することは、些細なことであり、『目的外使用』とまでいえない。」などと主張している。
しかしながら、この被告の主張は、賃貸借契約の要件や、白子町自身の使用許可についての行政行為といった上記の考慮要素を全く顧みない暴論というほかなく、明らかに失当である。
2 公民館についての契約(乙 31)は体育館の自販機に適用されないこと
公民館は体育館ではないから、公民館についての契約(乙 31)が、体育館の自販機(本件自販機)に適用されることはない。
3 賃料を徴収しなかったことの違法
賃料免除の証拠はない(直接証拠がないことは被告も認めている)。
本件賃貸借契約と新観音堂橋建設事業の間には、社会的関連性や政治的関連性(当時の町長にとっての重要問題であり、これを解決しなければ次の選挙に負けてしまうといった、真偽すら不明の事情)はあるのかもしれないが、仮にそうであったとしても、法的関連性がないことは明らかである。
しかも、仮に、本件賃貸借契約と新観音堂橋建設事業の間に社会的関連性や政治的関連性があり、それゆえに同契約が結ばれたのだとしても、さらにくわえて賃料免除という利得を与える理由についてはとうてい説明がつかない。
それでも被告は、「包括性及び網羅性を有する管理執行権」を有する白子町長が、本件賃貸借契約で支払を義務付けられた「賃貸借料」の支払を免除した行為は「裁量権の範囲内である。」との、町長に神のごとき権限を認める主張をしているが、失当極まりない。
第4 参加人準備書面3の主張に対する反論
本件賃貸借契約の当時すでに白子町の有力議員であり、その後、7 期 28年にわたり白子町の町長を務めた補助参加人林が、本件の経緯も知らず、無償設置も知らず、適正手続を信じていたという弁明はとうてい信用できず、このような責任逃れを許すことはできない。
補助参加人小髙は、青少年センターに設置した自販機ついては、行政財産の使用許可を受け、これに基づき使用料を支払っていたのであるから、「庁舎及び体育館への自動販売機の設置」に関しても同様に、行政財産の使用許可を受け、これに基づき使用料を支払わなければならないことを認識していたはずである。
昭和 62年度から白子町の役職につき、平成 10年度からは行政係に奉職していた、補助参加人小髙にその認識がなかったという弁明はとうてい信用できず、このような責任逃れを許すことはできない。
以上
【 参考 】
上記書面及び、第 3準備書面は下記 WEBよりダウンロードできます。
<弁論要旨>
https://drive.google.com/file/d/1-33-6wiECe6JMHygSXmlaysRRGvp54WL/view?usp=share_link
<第 3準備書面>
https://drive.google.com/file/d/1Mynn6nDG9myZklD2qgtY5seCgI6B6FHP/view?usp=share_link
【 所感 】〔被告&補助参加人・住民訴訟請求棄却の主張破綻が誰の目にも明らかに〕
傍聴席には、被告側からは毎回、白子町・総務課員が出席しています。今回は 3名の傍聴でした。全国紙・記者、フリー・ジャーナリストの傍聴者に加え、原告側からは地元支援者、千葉県市民オンブズマン連絡会議の方々の傍聴でした。
記者会見後の参加者との意見交換の共通認識は、①「被告及び補助参加人の主張(請求棄却)は完膚なき迄反論・否定された」②「補助参加人(二人)に対する尋問手続きが近日中に実施される見込み」③「(本訴と並行して)白子町に対して損害を与えた幹部職員に対する懲戒処分が視野に入ってくるはず」でした。
【 今後の動き 】
❶ 裁判長からの開催提案を受け、2023年 06月 12日(月)11:20~「進行協議」(裁判官主催、原告、被告、補助参加人での非公式協議)開催日程が決まりました。原告の私も参加します。
❷ 次回第 7回口頭弁論は、2023 年 7月 25日(火)16:00~開廷(千葉地裁 601号室)
市民オンブズマンの会白子 会長